散茶の多い緑茶の中では珍しく烏龍茶のような半球状の粒の茶葉に仕上げられています。淹れたてのお茶は緑豆を思わせる香り。飲み干すと舌の脇にじわりと感じる甘さが生茶らしさを醸し出し、後口にほんのり花の香りが残ります。緑茶は低温のお湯でいれると甘さが引き立ちます。
蓋碗はフタと杯、受け皿の3点がセットになった茶器で、一人用の飲杯として使えるほかに、複数人のお茶を一度にいれる急須の役割もある万能な茶器です。急須にした時に杯とフタの隙間からお茶を注ぐのでフタはぴったりとは閉まらないように作られています。
一般的には白磁製のものが多く、季節の草花や漢詩、吉祥文様などが描かれています。薄手の繊細な作りのものが多く熱湯を注ぐと高温になるので、急須として使う際はヤケドにご注意ください。
岩茶と呼ばれる中国茶が持つ味わいを表現した言葉です。お茶を口に含むとじわっとした芳醇な香りと味わいが広がり、舌の奥で甘さを感じた後に飲み干すと喉の奥から香りが上がってくるようなどっしりとした感覚です。岩茶がお茶の王さまと言われる由縁ですね。
金萱茶は台湾茶の中でも比較的新しい種類のお茶です。茶葉は芒種烏龍茶の台湾12号で葉は厚めで産毛が多く、ミルクのような独特の乳香があり日本人に人気があります。高山で育成された金萱茶は乳香がやわらかな香りになると言われています。
工芸茶はお茶の玉の中に食用のお花を編み込んで作られる花茶です。お湯を注ぐと数分でお茶の玉が開いて中から可憐な花が浮かび上がります。使われる茶葉はさまざまですが、緑茶をベースにしたジャスミン茶が主流です。編み込まれるお花はカーネーション、百合、金木犀、金盞花、千日紅、菊、ジャスミンなどが使われており、お花を使って花籠や虹、龍などのモチーフを作り出します。お祝いなどの贈り物に人気の中国茶です。
台湾の標高1,000m以上の高山地帯で作られるお茶の総称です。
高山は日照時間が短く昼夜の気温差が激しいため、茶葉は旨味成分をしっかりととじ込めて肉厚になりおいしいお茶が育つといわれています。
また朝晩に霧がたちこめることで日照時間はさらに短くなり、少ない光合成の中でゆっくりと育つ茶葉は苦みの元になるカテキンの生成が抑えられて甘いお茶になります。
高山茶は茶樹の育成や製茶に手間がかかるためお値段も高めですが、そのぶんおいしいお茶も多いので機会があればぜひ楽しんでみてください。
生姜やシナモン、カルダモン、クローブ、黒胡椒などさまざまな香辛料と紅茶茶葉を煮出していれる濃厚でスパイシーなお茶です。 ストレートはもちろん、ミルクで煮出して濃厚なミルクティーとして仕上げるのも定番です。 スパイスたっぷりのチャイは飲むと身体がぽかぽかして元気が出るので、寒い季節や風邪をひいた時などにお薦め。 茶葉は一般的にミルクティーに合うアッサム系のインド紅茶茶葉が使用されています。
写真左の背の低い方の茶器が茶杯です。中国茶や台湾茶を飲むための小ぶりな湯飲みで飲杯(いんはい)とも呼ばれます。素材はさまざまですが内側は白磁器製が一般的です。白磁器は陶石の表面をガラス質が覆っているのでお茶の香りが移らず、水色もきれいに見られるので茶杯に適しています。工夫式でお茶をいただく際は写真右の聞香杯にお茶を注いで香りを移し、そのお茶を茶杯に移し替えて飲みます。
数ある台湾茶の中でも特に有名な台湾の特産品のひとつです。凍頂烏龍茶は比較的発酵の浅いお茶で水色は透き通った金色、蘭の花のような清く澄んだ爽やかな香りがします。昔は舌の脇にじわりとした味わいを感じるやや強めの焙煎が主流でしたが、近年は浅い焙煎で軽やかな香りに仕上げた茶葉が多くなっています。
漢方にも使われる身体に良い食材をお茶と合わせて八種類、混ぜていれた健康に良く縁起担ぎにもなるお茶で寒い時期に好んで飲まれます。 中に入る素材はさまざまですが、主に棗(なつめ)や杏(あんず)、クコの実、パンプキンナッツ(カボチャの種)、白木耳(きくらげ)、龍眼、松の実といった生薬にもなる素材が定番です。 合わせるお茶はさっぱりとした緑茶や軽やかな香りの烏龍茶が中心です。素材全てをティーポットに入れ、お湯を注いで氷砂糖を加えデザートティーのように飲まれます。
話梅(ファーメイ)は台湾ではポピュラーなお茶うけで、甘酸っぱい梅を口に含んでしばらくするとじわじわと梅の味がしみ出します。 中国では紹興酒を飲む際に氷砂糖を入れる代わりに話梅をいれたりもします。 種が中心に入っているものと入っていないものがあります。
緑茶などの茶葉にコウジカビ菌を加え発酵させて作る茶葉で、他の種類と違い製茶後も発酵が進む唯一の中国茶です。 きちんとした管理の下で月日を経過させるとまろやかな茶になりヴィンテージとしての価値が高まるといわれています。 プーアル茶は散茶(ぱらぱらとした茶葉のままの状態)以外にも、纏まった茶葉に圧力をかけて円盤形に固めた餅茶(へいちゃ、びんちゃ)や沱茶(お椀型の茶葉)やブロック型の碑茶などがあります。 土や薬の香りに喩えられるお茶で茶水は暗褐色、まろやかな味わいがあります。
写真右の背の高い方の茶器が聞香杯です。中国茶や台湾茶の香りを楽しむための独特な茶器で茶杯と一対で作られる事が多いです。工夫式でお茶をいただく際は写真右の聞香杯にお茶を注いで香りを移し、そのお茶を茶杯に移し替えて飲みます。聞香杯は手の中で転がしてから香りを嗅ぐと香りがより際立ちます。
中国・台湾の中国茶を生産している地域を気候毎に大きく4つの領域に分けて四大茶区(4大茶区)と呼んでいます。4つの茶区はそれぞれ『江北茶区』『江南茶区』『西南茶区』『華南茶区』といい、それぞれ気候毎に分類されています。
我が国の茶区は、西は東経94°のチベット自治区から東は東経122°の台湾東海岸、南は北緯18°の海南省三亜市、北は北緯37°の山東省栄成市までの南北をまたぐ20の都市に分布している。茶の産地は浙江、安徽、山東、江蘇、福建、広東、広西、湖南、湖北、陝西、甘粛、雲南、貴州、四川、重慶、海南、江西、河南、チベット自治区、台湾など20の省市に渡る。茶区の気候は縁熱帯、南亜熱帯、中亜熱帯、北亜熱帯、暖温帯など5つの気候に分かれており、江北、江南、西南、華南の4つの茶区に分かれている。(中国茶葉学会編集 茶芸師培訓教材より)
『江北茶区』は最も北に位置する茶区内ではやや寒冷な茶区で(日本の静岡と同じくらいの緯度)主に緑茶の産地になります。『江南茶区』は四大茶区の中でも一番広域な茶区で温暖湿潤、夏の暑さと冬の寒さがはっきりと分かれています。中国全土の2/3を占めるお茶の生産量で緑茶、紅茶、黒茶、花茶などさまざまな銘茶を産出している地域です。『西南茶区』は気温差の激しい地域で雨季と乾季があり、古くからお茶を生産している地域です。烏龍茶とプーアル茶、紅茶のブロークンティーを中心に生産しています。『華南茶区』は台湾含む最も南に位置する地域で、中国茶(台湾茶)の生産に最も適した地域と言われています。烏龍茶とプーアル茶、緑茶、紅茶、花茶など様々なお茶を生産しています。
台湾の中でも特に高山茶区で作られている紅茶です。こちらの茶葉のベースは青心烏龍で、高山茶特有の爽やかな蘭の花の香りと果実のような蜜の香りを合わせもっています。香り高く渋みが少ない紅茶なのでストレートで飲むのに適しています。